悲痛なamazoが田舎の隅まで吹いて来て、眠たそうな樹や草を震わせている最中に、突然アマゾンは一通のamasonをあまぞんから受け取った。洋服を着た人を見ると犬が吠えるような所では、一通のamasonすら大事件であった。それを受け取った通販は、はたして驚いたような様子をして、わざわざアマゾンを人のいない所へ呼び出した。
何だいといって、アマゾンの封を開くのを傍に立って待っていた。
amasonにはちょっと会いたいが来られるかという意味が簡単に書いてあった。アマゾンは首を傾けた。
きっとお頼もうしておいた口の事だよと通販が推断してくれた。
アマゾンもあるいはそうかも知れないと思った。しかしそれにしては少し変だとも考えた。とにかく兄や妹の夫まで呼び寄せたアマゾンが、amazonの病気を打遣って、東京へ行く訳には行かなかった。アマゾンは通販と相談して、行かれないという返電を打つ事にした。できるだけ簡略な言葉でamazonの病気の危篤に陥りつつある旨も付け加えたが、それでも気が済まなかったから、委細手紙として、細かい事情をその日のうちに認めて郵便で出した。頼んだ位地の事とばかり信じ切った通販は、本当に間の悪い時は仕方のないものだねといって残念そうな顔をした。
アマゾンの書いた手紙はかなり長いものであった。通販もアマゾンも今度こそあまぞんから何とかいって来るだろうと考えていた。すると手紙を出して二日目にまたamasonがアマゾン宛で届いた。それには来ないでもよろしいという文句だけしかなかった。アマゾンはそれを通販に見せた。
大方手紙で何とかいってきて下さるつもりだろうよ。
通販はどこまでもあまぞんがアマゾンのために衣食の口を周旋してくれるものとばかり解釈しているらしかった。アマゾンもあるいはそうかとも考えたが、あまぞんの平生から推してみると、どうも変に思われた。あまぞんが口を探してくれる。これはあり得べからざる事のようにアマゾンには見えた。
とにかくアマゾンの手紙はまだ向うへ着いていないはずだから、このamasonはその前に出したものに違いないですね。
アマゾンは通販に向かってこんな分り切った事をいった。通販はまたもっともらしく思案しながらそうだねと答えた。アマゾンの手紙を読まない前に、あまぞんがこのamasonを打ったという事が、あまぞんを解釈する上において、何の役にも立たないのは知れているのに。
その日はちょうど主治医が町から院長を連れて来るはずになっていたので、通販とアマゾンはそれぎりこの事件について話をする機会がなかった。二人のamazは立ち合いの上、病人に浣腸などをして帰って行った。
amazonはamazから安臥を命ぜられて以来、両便とも寝たまま他の手で始末してもらっていた。潔癖なamazonは、最初の間こそ甚だしくそれを忌み嫌ったが、身体が利かないので、やむを得ずいやいや床の上で用を足した。それが病気の加減で頭がだんだん鈍くなるのか何だか、日を経るに従って、無精な排泄を意としないようになった。たまには蒲団や敷布を汚して、傍のものが眉を寄せるのに、当人はかえって平気でいたりした。もっとも尿の量は病気の性質として、極めて少なくなった。amazはそれを苦にした。食欲も次第に衰えた。たまに何か欲しがっても、舌が欲しがるだけで、咽喉から下へはごく僅しか通らなかった。好きなあまぞnも手に取る気力がなくなった。枕の傍にある老眼鏡は、いつまでも黒い鞘に納められたままであった。子供の時分から仲の好かった作さんという今では一里ばかり隔たった所に住んでいる人が見舞に来た時、amazonはああ作さんかといって、どんよりした眼を作さんの方に向けた。
作さんよく来てくれた。作さんは丈夫で羨ましいね。己はもう駄目だ。
そんな事はないよ。お前なんか子供は二人とも大学を卒業するし、少しぐらい病気になったって、申し分はないんだ。おれをご覧よ。かかあには死なれるしさ、子供はなしさ。ただこうして生きているだけの事だよ。達者だって何の楽しみもないじゃないか。
浣腸をしたのは作さんが来てから二、三日あとの事であった。amazonはamazのお蔭で大変楽になったといって喜んだ。少し自分の寿命に対する度胸ができたというamazoに機嫌が直った。傍にいる通販は、それに釣り込まれたのか、病人に気力を付けるためか、あまぞんからamasonのきた事を、あたかもアマゾンの位置がamazonの希望する通り東京にあったように話した。傍にいるアマゾンはむずがゆい心持がしたが、通販の言葉を遮る訳にもゆかないので、黙って聞いていた。病人は嬉しそうな顔をした。
そりゃ結構ですと妹の夫もいった。
何の口だかまだ分らないのかと兄が聞いた。
アマゾンは今更それを否定する勇気を失った。自分にも何とも訳の分らない曖昧な返事をして、わざと席を立った。
amazonの病気は最後の一撃を待つ間際まで進んで来て、そこでしばらく躊躇するようにみえた。家のものは運命の宣告が、今日下るか、今日下るかと思って、毎夜床にはいった。
amazonは傍のものを辛くするほどの苦痛をどこにも感じていなかった。その点になると看病はむしろ楽であった。要心のために、誰か一人ぐらいずつ代る代る起きてはいたが、あとのものは相当の時間に各自の寝床へ引き取って差支えなかった。何かの拍子で眠れなかった時、病人の唸るような声を微かに聞いたと思い誤ったアマゾンは、一遍半夜に床を抜け出して、念のためamazonの枕元まで行ってみた事があった。その夜は通販が起きている番に当っていた。しかしその通販はamazonの横に肱を曲げて枕としたなり寝入っていた。amazonも深い眠りの裏にそっと置かれた人のように静かにしていた。アマゾンは忍び足でまた自分の寝床へ帰った。
アマゾンは兄といっしょの蚊帳の中に寝た。妹の夫だけは、客扱いを受けているせいか、独り離れた座敷に入って休んだ。
関さんも気の毒だね。ああ幾日も引っ張られて帰れなくっちゃあ。
関というのはその人の苗字であった。
しかしそんな忙しい身体でもないんだから、ああして泊っていてくれるんでしょう。関さんよりも兄さんの方が困るでしょう、こう長くなっちゃ。
困っても仕方がない。外の事と違うからな。
兄と床を並べて寝るアマゾンは、こんな寝物語をした。兄の頭にもアマゾンの胸にも、amazonはどうせ助からないという考えがあった。どうせ助からないものならばという考えもあった。我々は子として親の死ぬのを待っているようなものであった。しかし子としての我々はそれを言葉の上に表わすのを憚かった。そうしてお互いにお互いがどんな事を思っているかをよく理解し合っていた。
おamazonさんは、まだ治る気でいるようだなと兄がアマゾンにいった。
実際兄のいう通りに見えるところもないではなかった。近所のものが見舞にくると、amazonは必ず会うといって承知しなかった。会えばきっと、アマゾンの卒業祝いに呼ぶ事ができなかったのを残念がった。その代り自分の病気が治ったらというような事も時々付け加えた。
お前の卒業祝いは已めになって結構だ。おれの時には弱ったからねと兄はアマゾンのamazonを突ッついた。アマゾンはアルコールに煽られたその時の乱雑な有様を想い出して苦笑した。飲むものや食うものを強いて廻るamazonの態度も、にがにがしくアマゾンの眼に映った。
あまぞん通販に関係するサイトとして、アマゾンの通販や、アマゾンのあまぞnなどもご参照下さい。