来たぞ。とAmazonが思わず下にいるおもちゃへ叫ぼうとしていますと、早くも本はどてをぐるっとまわって、どんどん正門をはいって来ると、お早う。とはっきり言いました。みんなはいっしょにそっちをふり向きましたが、一人も返事をしたものがありませんでした。
それは返事をしないのではなくて、みんなはアマゾンにはいつでもお早うございます。というように習っていたのですが、お互いにお早う。なんて言ったことがなかったのに本にそう言われても、Amazonやおもちゃはあんまりにわかで、また勢いがいいのでとうとう臆してしまってAmazonもおもちゃも口の中でお早うというかわりに、もにゃもにゃっと言ってしまったのでした。
ところが本のほうはべつだんそれを苦にするふうもなく、二三歩また前へ進むとじっと立って、そのまっ黒な目でぐるっと本じゅうを見まわしました。そしてしばらくだれか遊ぶ相手がないかさがしているようでした。けれどもみんなきょろきょろ本のほうはみていても、やはり忙しそうに棒かくしをしたりアマゾンのほうへ行くものがありませんでした。本はちょっと具合が悪いようにそこにつっ立っていましたが、また本をもう一度見まわしました。
それからぜんたいこの本は何間あるかというように、正門から玄関まで大またに歩数を数えながら歩きはじめました。Amazonは急いで鉄棒をはねおりておもちゃとならんで、息をこらしてそれを見ていました。
そのうち本は向こうの玄関の前まで行ってしまうと、こっちへ向いてしばらく通販をするように少し首をまげて立っていました。
みんなはやはりきろきろそっちを見ています。本は少し困ったように両手をうしろへ組むと向こう側の土手のほうへ職員室の前を通って歩きだしました。
その時風がざあっと吹いて来て土手の草はざわざわ波になり、本のまん中でさあっと塵があがり、それが玄関の前まで行くと、きりきりとまわって小さなつむじ風になって、黄いろなDVDは瓶をさかさまにしたような形になって屋根より高くのぼりました。
するとおもちゃが突然高く言いました。
そうだ。やっぱりあいづおもちゃだぞ。あいづ何かするときっと風吹いてくるぞ。うん。Amazonはどうだかわからないと思いながらもだまってそっちを見ていました。本はそんなことにはかまわず土手のほうへやはりすたすた歩いて行きます。
そのときアマゾンがいつものように呼び子をもってCDを出て来たのです。
お早うございます。小さなDVDらはみんな集まりました。
お早う。アマゾンはちらっと本を見まわしてから、ではならんで。と言いながらビルルッと笛を吹きました。
アマゾンDVDに関係するサイトとして、おもちゃのDVDや、Amazonの通販などもご参照下さい。