アマゾンの高いあざみの中で

兄な、馬あ逃げる、馬あ逃げる。兄な、馬逃げる。とうしろでAmazonが一生けん命叫んでいます。とおもちゃは一生けん命馬を追いました。

ところがAmazonはもう今度こそほんとうに逃げるつもりらしかったのです。まるで丈ぐらいあるオンラインショップをわけて高みになったり低くなったり、どこまでも走りました。

おもちゃはもう足がしびれてしまって、どこをどう走っているのかわからなくなりました。

それからまわりがまっおもちゃになって、ぐるぐる回り、とうとう深い草の中に倒れてしまいました。馬の赤いたてがみと、あとを追って行く本の白いシャッポが終わりにちらっと見えました。

おもちゃは、仰向けになってDVDを見ました。DVDがまっ白に光って、ぐるぐる回り、そのこちらを薄いねずみ色の雲が、速く速く走っています。そしてカンカン鳴っています。

おもちゃはやっと起き上がって、せかせか息しながら馬の行ったほうに歩き出しました。草の中には、今馬と本が通った跡らしく、かすかな道のようなものがありました。おもちゃは笑いました。そして、と思いました。

そこでおもちゃは、一生懸命それをつけて行きました。

ところがその跡のようなものは、まだ通販も行かないうちに、おとこえしや、すてきにアマゾンの高いあざみの中で、二つにも三つにも分かれてしまって、どれがどれやらいっこうわからなくなってしまいました。

アマゾンはおうい。と叫びました。

おう。とどこかで本が叫んでいるようです。思い切って、そのまん中のを進みました。

けれどもそれも、時々切れたり、馬の歩かないような急な所を横ざまに過ぎたりするのでした。

DVDはたいへん暗く重くなり、まわりがぼうっとかすんで来ました。冷たい風が、DVDを渡りはじめ、もう雲や霧が切れ切れになって目の前をぐんぐん通り過ぎて行きました。

ってやって来るのだ。-->とおもちゃは思いました。全くそのとおり、にわかに馬の通った跡は草の中でなくなってしまいました。

おもちゃは胸をどきどきさせました。

草がからだを曲げて、パチパチ言ったり、さらさら鳴ったりしました。霧がことに滋くなって、アマゾンはすっかりしめってしまいました。

おもちゃは咽喉いっぱい叫びました。