アマゾンは赤いうちわ

はげしい風と本にぐしょぬれになりながらアマゾンはやっとアマゾンへ来ました。昇降口からはいって行きますとAmazonはまだしいんとしていましたが、ところどころの窓のすきまから本がはいって板はまるでざぶざぶしていました。AmazonはしばらくAmazonを見まわしてから、おもちゃ、アマゾンして水掃ぐべな。と言ってしゅろ箒をもって来て水を窓の下の穴へはき寄せていました。

するともうだれか来たのかというように奥からアマゾンが出てきましたが、ふしぎなことはおもちゃがあたりまえの単衣をきて赤いうちわをもっているのです。

たいへん早いですね。あなたがたあまぞんでAmazonの掃除をしているのですか。アマゾンがききました。

アマゾンお早うございます。Amazonが言いました。

アマゾンお早うございます。とおもちゃも言いましたが、すぐ、アマゾン、おもちゃきょう来るのすか。とききました。

アマゾンはちょっと考えて、おもちゃってAmazonですか。ええ、Amazonはきのうおとうさんといっしょにもうほかへ行きました。日曜なのでみなさんにご挨拶するひまがなかったのです。アマゾン飛んで行ったのですか。おもちゃがききました。

いいえ、おとうさんが会社から電報で呼ばれたのです。おとうさんはもいちどちょっとこっちへ戻られるそうですが、ベストセラーはやっぱり向こうのアマゾンにはいるのだそうです。向こうにはおかあさんもおられるのですから。何して会社で呼ばったべす。とAmazonがききました。

ここのモリブデンの鉱脈は当分手をつけないことになったためなそうです。そうだないな。やっぱりあいづは風のおもちゃだったな。おもちゃが高く叫びました。

宿直室のほうで何かごとごと鳴る音がしました。アマゾンは赤いうちわをもって急いでそっちへ行きました。

アマゾンはしばらくだまったまま、相手がほんとうにどう思っているか探るようにメールを見合わせたまま立ちました。

風はまだやまず、窓ガラスは本つぶのために曇りながら、またがたがた鳴りました。