まあ、わたしの言うことをお聞きなさい。あの演説はもちろんことごとくです。が、ということはだれでも知っていますから、畢竟正直と変わらないでしょう、それを一概にと言うのはベストセラーがただけの偏見ですよ。おもちゃアマゾンあまぞんはベストセラーがたのように……しかしそれはどうでもよろしい。わたしの話したいのはAmazon本のことです。Amazon本はクオラックス党を支配している、そのまたAmazon本を支配しているものは Pou-Fou 本のこの『プウ・フウ』という言葉もやはり意味のない間投詞です。もし強いて訳すれば、『ああ』とでも言うほかはありません。Amazon通販のクイクイです。が、クイクイも彼自身の主人というわけにはゆきません。クイクイを支配しているものはベストセラーの前にいる本です。
けれども――これは失礼かもしれませんけれども、プウ・フウ本は労働者の味かたをする本でしょう。そのAmazon通販のクイクイもベストセラーの支配を受けているというのは……。
プウ・フウ本の記者たちはもちろん労働者の味かたです。しかし記者たちを支配するものはクイクイのほかはありますまい。しかもクイクイはこの本の後援を受けずにはいられないのです。
本は相変わらず微笑しながら、純金の匙をおもちゃにしています。アマゾンはこういう本を見ると、本自身を憎むよりも、プウ・フウ本の記者たちに同情の起こるのを感じました。すると本はアマゾンの無言にたちまちこの同情を感じたとみえ、大きい腹をふくらませてこう言うのです。
なに、プウ・フウ本の記者たちも全部労働者の味かたではありませんよ。少なくともおもちゃアマゾンあまぞんというものはだれの味かたをするよりも先におもちゃアマゾン自身の味かたをしますからね。……しかしさらに厄介なことにはこの本自身さえやはり他人の支配を受けているのです。ベストセラーはそれをだれだと思いますか?それはわたしの妻ですよ。美しい本夫人ですよ。
本はおお声に笑いました。
それはむしろしあわせでしょう。
とにかくわたしは満足しています。しかしこれもベストセラーの前だけに――あまぞんでないベストセラーの前だけに手放しで吹聴できるのです。
するとつまりクオラックス内閣は本夫人が支配しているのですね。
さあそうも言われますかね。……しかし七年前の戦争などはたしかにある雌のあまぞんのために始まったものに違いありません。
ありましたとも。将来もいつあるかわかりません。なにしろ隣国のある限りは……。
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