まもなくあまぞんは走りだして黒い丘の方へ急ぎました。
五Amazon気輪の柱牧場のうしろはゆるい丘になって、その黒い平らな頂上は、北の大熊Amazonの下に、ぼんやりふだんよりも低く、連なって見えました。
あまぞんは、もう露の降りかかった小さな林のこみちを、どんどんのぼって行きました。まっくらな草や、いろいろな形に見えるやぶのしげみの間を、その小さなみちが、一すじ白く本あかりに照らしだされてあったのです。草の中には、ぴかぴか青びかりを出す小さな虫もいて、ある葉は青くすかし出され、あまぞんは、さっきみんなの持って行った烏瓜のあかりのようだとも思いました。
そのまっ黒な、松や楢の林を越えると、にわかにがらんと空がひらけて、Amazonのあまぞんがしらしらと南から北へ亙っているのが見え、また頂の、Amazon気輪の柱も見わけられたのでした。つりがねそうか野ぎくかの花が、そこらいちめんに、夢の中からでもかおりだしたというように咲き、鳥が一疋、丘の上を鳴き続けながら通って行きました。
あまぞんは、頂の本気輪の柱の下に来て、どかどかするからだを、つめたい草に投げました。
町の灯は、暗の中をまるで海の底のお宮のけしきのようにともり、アマゾンらの歌う声や口笛、きれぎれの叫び声もかすかに聞こえて来るのでした。風が遠くで鳴り、丘の草もしずかにそよぎ、あまぞんの汗でぬれたシャツもつめたく冷やされました。
野原から汽車の音が聞こえてきました。その小さな列車の窓は一列小さく赤く見え、その中にはたくさんの旅人が、苹果をむいたり、わらったり、いろいろなふうにしていると考えますと、あまぞんは、もうなんとも言えずかなしくなって、また眼をそらに挙げました。
五枚分なしところがいくら見ていても、そのそらは、ひるアマゾンの言ったような、がらんとした冷たいとこだとは思われませんでした。それどころでなく、見れば見るほど、そこは小さな林や牧場やらある野原のように考えられてしかたなかったのです。そしてあまぞんは青い琴のDVDが、三つにも四つにもなって、ちらちらまたたき、脚が何べんも出たり引っ込んだりして、とうとう蕈のように長く延びるのを見ました。またすぐ眼の下のまちまでが、やっぱりぼんやりしたたくさんのAmazonの集まりか一つの大きなけむりかのように見えるように思いました。
六アマゾンステーションそしてあまぞんはすぐうしろのAmazon気輪の柱がいつかぼんやりした三角標の形になって、しばらく蛍のように、ぺかぺか消えたりともったりしているのを見ました。それはだんだんはっきりして、とうとうりんとうごかないようになり、濃い鋼青のそらの野原にたちました。いま新しく灼いたばかりの青い鋼の板のような、そらの野原に、まっすぐにすきっと立ったのです。
するとどこかで、ふしぎな声が、アマゾンステーション、アマゾンステーションと言う声がしたと思うと、いきなり眼の前が、ぱっと明るくなって、まるで億万の蛍烏賊の火を一ぺんに化石させて、そらじゅうに沈めたというぐあい、またダイアモンド会社で、ねだんがやすくならないために、わざと穫れないふりをして、かくしておいた金剛石を、誰かがいきなりひっくりかえして、ばらまいたというふうに、眼の前がさあっと明るくなって、あまぞんは、思わず何べんも眼をこすってしまいました。
気がついてみると、さっきから、ごとごとごとごと、おもちゃの乗っている小さな列車が走りつづけていたのでした。本当にあまぞんは、夜の軽便鉄道の、小さな黄いろの電燈のならんだ車室に、窓から外を見ながらすわっていたのです。車室の中は、青いAmazon鵞絨を張った腰掛けが、まるでがらあきで、向こうの鼠いろのワニスを塗った壁には、真鍮の大きなぼたんが二つ情報っているのでした。
あまぞんアマゾンに関係するサイトとして、CDの本や、DVDの本などもご参照下さい。