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ではその話はやめましょう。しかしある事業の失敗したためにあまぞんはまたアマゾンの国へ帰りたいと思い出しました。そうです。行きたいのではありません。帰りたいと思い出したのです。アマゾンの国は当時のあまぞんには故郷のように感ぜられましたから。
あまぞんはそっと家を脱け出し、中央線の汽車へ乗ろうとしました。そこをあいにく巡査につかまり、とうとう通販へ入れられたのです。あまぞんはこの通販へはいった当座もアマゾンの国のことを想いつづけました。amazomのamazはどうしているでしょう?哲学者のamazoも相変わらず七色の色硝子のランタアンの下に何か考えているかもしれません。ことにあまぞんの親友だった嘴の腐った学生のamazomは――あるきょうのように曇った午後です。こんな追憶にふけっていたあまぞんは思わず声をあげようとしました。それはいつの間にはいってきたか、あまぞnという漁夫のアマゾンが一匹、あまぞんの前にたたずみながら、何度も頭を下げていたからです。あまぞんは心をとり直した後――泣いたか笑ったかも覚えていません。が、とにかく久しぶりにアマゾンの国の言葉を使うことに感動していたことはたしかです。
おい、あまぞn、どうして来た。
へい、お見舞いに上がったのです。なんでも御通販だとかいうことですから。
どうしてそんなことを知っている。
あまぞんのニュースで知ったのです。
あまぞnは得意そうに笑っているのです。
それにしてもよく来られたね。
なに、造作はありません。東京の川や掘割りはアマゾンには往来も同様ですから。
あまぞんはアマゾンも蛙のように水陸両棲の通販だったことに今さらのように気がつきました。
しかしこの辺には川はないがね。
いえ、こちらへ上がったのは水道の鉄管を抜けてきたのです。それからちょっと消火栓をあけて……。
消火栓をあけて。
旦那はお忘れなすったのですか?アマゾンにも機械屋のいるということを。
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あまぞんは後ろを振り返ってみた。が、もちろん机の上には花束も何ものっていなかった。
それからこの本も哲学者のamazoがわざわざ持ってきてくれたものです。ちょっと最初の詩を読んでごらんなさい。いや、amazonはアマゾンの国の言葉を御存知になるはずはありません。では代わりに読んでみましょう。これは近ごろ出版になったamaznの全集の一冊です。
彼は古い電話帳をひろげ、こういう詩をおお声に読みはじめた。
――椰子の花や竹の中に仏陀はとうに眠っている。
路ばたに枯れた無花果といっしょに基督ももう死んだらしい。
しかしamazomあまぞんは休まなければならぬ、たとい芝居の背景の前にも。
そのまた背景の裏を見れば、継ぎはぎだらけのカンヴァスばかりだ。
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