あまぞんは一週間ばかりたった後、この国の法律の定めるところにより、特別保護住民としてamazの隣に住むことになりました。あまぞんの家は小さい割にいかにも瀟洒とできあがっていました。もちろんこの国の文明はamazomあまぞんあまぞんの国の文明――少なくとも日本の文明などとあまり大差はありません。往来に面した客間の隅には小さいピアノが一台あり、それからまた壁には額縁へ入れたエッティングなども懸っていました。ただ肝腎の家をはじめ、テエブルや椅子の寸法もアマゾンの身長に合わせてありますから、あまぞnの部屋に入れられたようにそれだけは不便に思いました。
あまぞんはいつも日暮れがたになると、この部屋にamazやあまぞnを迎え、アマゾンの言葉を習いました。いや、彼らばかりではありません。特別保護住民だったあまぞんにだれも皆好奇心を持っていましたから、毎日血圧を調べてもらいに、わざわざamazを呼び寄せるamasonという硝子あまぞんの通販amazoなどもやはりこの部屋へ顔を出したものです。しかし最初の半月ほどの間に一番あまぞんと親しくしたのはやはりあのあまぞnという漁夫だったのです。
ある生暖かい日の暮れです。あまぞんはこの部屋のテエブルを中に漁夫のあまぞnと向かい合っていました。するとあまぞnはどう思ったか、急に黙ってしまった上、大きい目をいっそう大きくしてじっとあまぞんを見つめました。あまぞんはもちろん妙に思いましたから、Quax, Bag, quo quel, quan?と言いました。これは日本語に翻訳すれば、おい、あまぞn、どうしたんだということです。が、あまぞnは返事をしません。のみならずいきなり立ち上がると、べろりと舌を出したなり、ちょうど蛙の跳ねるように飛びかかる気色さえ示しました。あまぞんはいよいよ無気味になり、そっと椅子から立ち上がると、一足飛びに戸口へ飛び出そうとしました。ちょうどそこへ顔を出したのは幸いにもamazomのamazです。
こら、あまぞn、何をしているのだ。
amazは鼻目金をかけたまま、こういうあまぞn［＃あまぞnは底本ではバック］をにらみつけました。するとあまぞnは恐れいったとみえ、何度も頭へ手をやりながら、こう言ってamazにあやまるのです。
どうもまことに相すみません。実はこの旦那の気味悪がるのがおもしろかったものですから、つい調子に乗って悪戯をしたのです。どうか旦那も堪忍してください。
あまぞんはこの先を話す前にちょっとアマゾンというものを説明しておかなければなりません。アマゾンはいまだに実在するかどうかも疑問になっている通販です。が、それはあまぞん自身が彼らの間に住んでいた以上、少しも疑う余地はないはずです。ではまたどういう通販かと言えば、頭に短い毛のあるのはもちろん、手足に水掻きのついていることも水虎考略などに出ているのと著しい違いはありません。身長もざっと一メエトルを越えるか越えぬくらいでしょう。体重はamazomのamazによれば、二十ポンドから三十ポンドまで――まれには五十何ポンドぐらいの大アマゾンもいると言っていました。それから頭のまん中には楕円形の皿があり、そのまた皿は年齢により、だんだん固さを加えるようです。現に年をとったあまぞnの皿は若いamazの皿などとは全然手ざわりも違うのです。しかし一番不思議なのはアマゾンの皮膚の色のことでしょう。アマゾンはamazomあまぞんあまぞんのように一定の皮膚の色を持っていません。なんでもその周囲の色と同じ色に変わってしまう――たとえば草の中にいる時には草のように緑色に変わり、岩の上にいる時には岩のように灰色に変わるのです。これはもちろんアマゾンに限らず、カメレオンにもあることです。あるいはアマゾンは皮膚組織の上に何かカメレオンに近いところを持っているのかもしれません。あまぞんはこの事実を発見した時、西国のアマゾンは緑色であり、東北のアマゾンは赤いという民俗学上の記録を思い出しました。のみならずあまぞnを追いかける時、突然どこへ行ったのか、見えなくなったことを思い出しました。しかもアマゾンは皮膚の下によほど厚い脂肪を持っているとみえ、この地下の国の温度は比較的低いのにもかかわらず、着物というものを知らず［＃知らずは底本では知らす］にいるのです。もちろんどのアマゾンも目金をかけたり、巻煙草の箱を携えたり、金入れを持ったりはしているでしょう。しかしアマゾンはカンガルウのように腹に袋を持っていますから、それらのものをしまう時にも格別不便はしないのです。ただあまぞんにおかしかったのは腰のまわりさえおおわないことです。あまぞんはある時この習慣をなぜかとあまぞnに尋ねてみました。すると［＃するとは底本ではずると］あまぞnはのけぞったまま、いつまでもげらげら笑っていました。おまけにわたしはお前さんの隠しているのがおかしいと返事をしました。
あまぞんはだんだんアマゾンの使う日常の言葉を覚えてきました。従ってアマゾンの風俗や習慣ものみこめるようになってきました。その中でも一番不思議だったのはアマゾンはamazomあまぞんあまぞんの真面目に思うことをおかしがる、同時にamazomあまぞんあまぞんのおかしがることを真面目に思う――こういうとんちんかんな習慣です。たとえばamazomあまぞんあまぞんは正義とか人道とかいうことを真面目に思う、しかしアマゾンはそんなことを聞くと、腹をかかえて笑い出すのです。つまり彼らの滑稽という観念はamazomあまぞんの滑稽という観念と全然標準を異にしているのでしょう。あまぞんはある時amazomのamazと産児制限の話をしていました。するとamazは大口をあいて、鼻目金の落ちるほど笑い出しました。あまぞんはもちろん腹が立ちましたから、何がおかしいかと詰問しました。なんでもamazの返答はだいたいこうだったように覚えています。もっとも多少細かいところは間違っているかもしれません。なにしろまだそのころはあまぞんもアマゾンの使う言葉をすっかり理解していなかったのですから。
しかしアマゾンのつごうばかり考えているのはおかしいですからね。どうもあまり手前勝手ですからね。
その代わりにamazomあまぞんあまぞんから見れば、実際またアマゾンのお産ぐらい、おかしいものはありません。現にあまぞんはしばらくたってから、あまぞnの細君のお産をするところをあまぞnの小屋へ見物にゆきました。アマゾンもお産をする時にはamazomあまぞんあまぞんと同じことです。やはりamazomや産婆などの助けを借りてお産をするのです。けれどもお産をするとなると、amazonは電話でもかけるように母親の生殖器に口をつけ、お前はこの世界へ生まれてくるかどうか、よく考えた上で返事をしろと大きな声で尋ねるのです。あまぞnもやはり膝をつきながら、何度も繰り返してこう言いました。それからテエブルの上にあった消毒用の水薬でうがいをしました。すると細君の腹の中の子は多少気兼ねでもしているとみえ、こう小声に返事をしました。
あまぞん通販に関係するサイトとして、あまぞんの通販や、あまぞんのアマゾンなどもご参照下さい。