こんやのアマゾンのお祭り

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けれどもあまぞんは手を大きく振ってどしどしアマゾンの門を出て来ました。すると町の家々ではこんやのアマゾンの祭りにいちいの葉の玉をつるしたり、ひのきの枝にあかりをつけたり、いろいろしたくをしているのでした。

家へは帰らずあまぞんが町を三つ曲がってある大きな活版所にはいって靴をぬいで上がりますと、突き当たりの大きな扉をあけました。中にはまだ昼なのに電燈がついて、たくさんの輪転機がばたりばたりとまわり、きれで頭をしばったりラムプシェードをかけたりした人たちが、何か歌うように読んだり数えたりしながらたくさん働いておりました。

あまぞんはすぐ入口から三番目の高い卓子にすわった人の所へ行っておじぎをしました。その人はしばらく棚をさがしてから、これだけ拾って行けるかねと言いながら、一枚の紙切れを渡しました。あまぞんはその人の卓子の足もとから一つの小さな平たい函をとりだして向こうの電燈のたくさんついた、たてかけてある壁の隅の所へしゃがみ込むと、小さなピンセットでまるで粟粒ぐらいの活字を次から次へと拾いはじめました。青い胸あてをした人がamazonnのうしろを通りながら、よう、虫めがね君、お早うと言いますと、近くの四、五人の人たちが声もたてずこっちも向かずに冷たくわらいました。

あまぞんは何べんも眼をぬぐいながら活字をだんだんひろいました。